
昔の私は、パーソナルトレーニングは長く続けるものではないと思っていました。
目標を達成したら卒業して、その後は自分で運動を続ける。
それが理想だと考えていたんです。
今でも、その考えを否定するつもりはありません。
例えば、結婚式に向けたボディメイクや、ボディコンテスト、大会など、期限が決まっている目標であれば、期間限定でパーソナルトレーニングを利用するのも、とても良い方法だと思います。
でも、スタジオを続ける中で、私の考え方は少し変わりました。
長く通ってくださっているお客様を見ていると、皆さんが通い続けている理由は「惰性」や「依存」ではないんです。
私のところへ来て、運動をして、私からフィードバックを受ける。
その時間を通して、「今の自分の体は、姿勢は、どういう状態なのか」を確認している。
そんな感覚に近いように思います。
実は私自身も、考えを整理したい時、一人で考え続けるよりも、時には誰かに話しながら整理することがあります。
話しているうちに、「私は本当はこう考えていたんだ」と気づくことがあるんです。
体も、それと少し似ているのではないかと思っています。
自分では気づきにくいことを、客観的な視点からフィードバックしてもらう。
そのことで、自分の感覚と実際の体の状態がつながっていく。
だから長く通われているお客様も、「運動をやらされに来ている」のではなく、「自分の体を確認しに来ている」という感覚なのではないかと感じています。
実際、お仕事が忙しくなり、しばらくお休みされていたお客様が久しぶりに来られることがあります。
そんな時、肩をすくめる癖が以前より強くなっていたり、体全体がこわばっていたりすることは本当によくあります。
ご本人も「最近なんだか体が重い」「疲れやすい」「肩凝りしやすい」と感じていることが多く、私もその変化に気づいてお伝えします。
そして、お客様自身が感じていることと、私から見えている変化を照らし合わせながら、今の体の状態を一緒に確認していきます。
考えてみれば、その方は私と出会うまで何十年もの間、その人なりの体の使い方で生活してきました。
立ち方、歩き方、力の入れ方、姿勢。
長い年月をかけて身についた癖があります。
その癖が不調につながりやすいものであれば、少しずつ体の使い方をアップデートしていくことは、とても大切だと思っています。
でも、癖というものは簡単には変わりません。
セッションで良い動きができるようになっても、仕事が忙しくなって運動する時間が減ると、気づかないうちに元の使い方へ戻ってしまうこともあります。
意志が弱いからではありません。
それだけ長年積み重ねてきた習慣は強いということです。
だからこそ、定期的に自分の体の状態を確認し、必要があれば少し軌道修正する。
私は、その時間にはとても大きな価値があると感じています。
実は、これは私自身も同じです。
トレーナーだからといって、自分の体の癖がなくなるわけではありません。
私もトレーナーとして活動する前は、長くパーソナルトレーニングを受けてきました。
そして現在も取り組んでいるパワーリフティングは、競技として重量を伸ばすための専門的な分野です。
そのため、その分野を専門とする指導者からアドバイスを受けたり、必要に応じてパーソナルトレーニングを受けたりすることがあります。
専門家の視点から自分の動きを確認してもらうことで、自分一人では気づけない課題が見えてくるからです。
だから私は、パーソナルトレーニングは「できない人が受けるもの」ではなく、「自分の体をより深く知るためのもの」でもあると思っています。
そして、長く通ってくださるお客様がいることに、私は甘えてはいけないとも思っています。
お客様の体は、年齢や生活環境、仕事、趣味によって少しずつ変化していきます。
その変化に気づき、その時々に合った運動をご提案するためには、私自身が学び続けなければなりません。
何年も前の知識だけで指導を続けることは、私にはできません。
だから私は、一生勉強を続けます。
新しい情報、正しい情報に触れ、本当に良いと思えるものは取り入れ、流行だからという理由だけでは採用しない。
自分で学び、考え、お客様にとって必要だと確信できたものだけをお伝えしていきたいと思っています。
学ぶことには時間もお金もかかります。
でも、それは私にとって単なる経費ではありません。
長く通ってくださるお客様の信頼に応え続けるための、大切な投資です。
長く任せていただく以上、私も成長を止めない。
それが、私がお客様に対して果たすべき責任だと思っています。
パーソナルトレーニングには、「目標を達成したら卒業する」という利用の仕方もあります。
一方で、「自分の体を定期的に確認するために続ける」という利用の仕方もあります。
どちらが正しいということではありません。
ただ私は、お客様と長く関わる中で、後者の価値を強く感じるようになりました。
自分の体は、一生付き合っていくもの。
だからこそ、定期的に自分の体と向き合う時間を持つことは、未来の自分への大切な投資だと私は考えています。